東洋の精神的伝統について

昨日夜、所用で出かけたおり、

日中の制作とレター原稿で疲れた頭に

知的興奮と幸福を与えてくれた本。

「意識と本質」井筒俊彦

疲れていたので、速読せずにじっくりと

読み進めた。

そのなかで、ひときわ眼をひいた

東洋人の精神的伝統の一説には、

表層意識と深層意識は、西洋人は伝統的に二元論で分裂しているが、

東洋人は伝統的に分裂していないため、

意識の分裂にさらされる可能性が低い伝統を持っているのだ、

という一説。

老子荘子、仏教、イスラムインド哲学など

東洋のさまざまな思想から展開して

井筒俊彦氏が

鋭く語りかける。


様々なものを透視図的に明快に描かない美術の歴史、

一点に視点を定めて描く遠近法でなく、

東洋の多視点の絵画伝統の

背後の思想をこんなに明快に羅列して説明してくれる、

これは感動であり、

あらたなイメージや語彙のアイデアの宝庫で、

何ともわくわくした。