東洋の精神的伝統について

昨日夜、所用で出かけたおり、

日中の制作とレター原稿で疲れた頭に

知的興奮と幸福を与えてくれた本。

「意識と本質」井筒俊彦

疲れていたので、速読せずにじっくりと

読み進めた。

そのなかで、ひときわ眼をひいた

東洋人の精神的伝統の一説には、

表層意識と深層意識は、西洋人は伝統的に二元論で分裂しているが、

東洋人は伝統的に分裂していないため、

意識の分裂にさらされる可能性が低い伝統を持っているのだ、

という一説。

老子荘子、仏教、イスラムインド哲学など

東洋のさまざまな思想から展開して

井筒俊彦氏が

鋭く語りかける。


様々なものを透視図的に明快に描かない美術の歴史、

一点に視点を定めて描く遠近法でなく、

東洋の多視点の絵画伝統の

背後の思想をこんなに明快に羅列して説明してくれる、

これは感動であり、

あらたなイメージや語彙のアイデアの宝庫で、

何ともわくわくした。

明治を感じる:宮川香川時代の空気を泳ぎ切る。

宮川香川の

横浜眞葛焼を見て、カタログ資料に眼を通した感想。

非常に熱意と使命感をもって

明治という変化の激しい時代に

相対しながら、

自身の作風を変化させていった

ダイナミズムが感じられる。


当時から<悪趣味><他に追随するものなし>

とまっこうから評価の割れた

彫刻的な装飾。


一方で、

中国の陶を熱心に

研究して

古典と間違われるほどの

ものを作り出す。


眞葛ミュージアムで見ることができる。

直観の結果を美術の立場から

「美術は、眼に見えるものを再現するのではなく、

眼に見えるようにする」

形態は、芸術的人間のうちに、

反響する相対物として生まれる。

形態は、事物を前にしての感動と、

形成する自然の創造方法への

深い洞察とから、

美術を通して観照可能なものに

転換されるのである。

引用:「パウル・クレー」W・ハフトマン著 西田秀穂元木幸一


芸術の概念を

たどりなおすのに、

自分はクレーが相性がよさそうだと、

最近、おりにふれて

この本も眼を通す。


まさにこの引用のものの見方は

自分に近い。

違いは、

「事物」だけでなく、

心理的洞察」

を眼に見えるようにしたいという

私の欲望、

そして

クレーやハフトマンが、

無意識に持つ西洋的なバックボーン。


その西洋的なバックボーンを

感じ取るために、

他の書物を

いろいろ斜め読みしている。

1993年 女子美術大学絵画科洋画専攻(版画)卒業、個展(相模原市民ギャラリー)、個展(町田版画美術館ギャラリー) 、 版画協会展
1994年 個展(ギャラリートーニチ)
1995年 個展(八王子アートセンター)、相模原芸術家協会展(以降毎年~)
1996年 個展(ギャラリーアリエス
1997年 個展(ギャラリー華音留)
1998年 個展(日辰画廊) 
1999年 個展(ギャルリーヴェルジェ企画、日辰画廊グループ展(企画)
2000年 個展(ギャラリートーニチ)
2001年 個展(ギャルリ−ヴェルジェ企画)
2002年 個展( Oギャラリー)、近・現代の女性作家展(相模原市民ギャラリー企画)、 絵になる瞬間(女子美ミュージアム企画)  
2003年 個展(ギャルリーヴェルジェ企画) 、神奈川県展
2004年 個展( Oギャラリーup・s、top・s、「はじめまして 牧郷ラボ」(牧郷ラボ実行委員会)、三島 ストリートギャラリー 、現代日本美術会特別賞
2005年 トロントアートエクスポ、 個展(ギャルリーヴェルジェ企画)
2006年 個展(マキイマサルファインアーツ企画)
2007年 個展(ギャルリ−ヴェルジェ企画)、 3人展(ぎゃらりー二桜舎企画)
神奈川県展
2008年 シベリアからそうぞうへ(ぎゃらりー二桜舎企画)
2009年 個展:華宝(ぎゃらりー二桜舎企画)、個展:無限億の泉〜心の空中散歩(ギャルリーヴェルジェ企画)、現代日本美術会年間優秀作品賞


その他グループ展多数


現代日本美術会会員
相模原芸術家協会会員

日本人の美意識:「きわめて鋭敏な美的感覚の持ち主であった清少納言は、

枕草子』のなかで、「なにもなにもちひさきものはみなうつくし」と断定して、

その例といて、ようやく這い出したばかりの赤ん坊や雀の子、あるいはお雛様の道具などを挙げている。

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引用:日本の美を語る  高階秀爾編著